うつ病当事者の心の内側の気持ち

悲しいことに、うつ病の方が自らの命を絶たれてしまう悲しい出来事が後を絶ちません。
 
心が健康な方からしたら、理解できない行為だし、人生もったいないと思った方もいると思います。
 
 
 
うつ病は、自らの命を絶ってしてしまう危険性が増える病です。
 
うつ病当事者のメンタルの内側を覗いてみると、なぜ自らの命を絶ってしまうのか。理由が理解が深まると思います。
 
うつ病当事者が普段どんな思いを感じているのか?
うつ病経験者が語る、うつの実体験をもとに、真実の情報をお伝えします。
 
前半の文章は、うつ病に伴う症状、苦しみ、ネガティブな事を書きますが、
後半は、うつ病から得られる、大事な気付きをご紹介しますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
 
 
 
うつ病の基礎知識
 
うつ病は心の病と言いますが、脳の活動と関係している事がわかっています。
ですので、うつ病は脳の病気なのですね。
 
脳内では、セロトニン神経伝達物質の不均衡。
ドーパミンノルアドレナリンなどの神経伝達物質や神経回路の変化もうつ病に関与しているそうです。
 
うつ病の精神的な症状としては、
•強い不安
•焦り
•無気力
•悲しみ
•絶望感
•罪悪感
•無力感
•無価値感
 
うつ病になる前の健康だったころと比べると、上記のような不快な状態に悩まされます。
 
また、身体的な症状としては、
•疲れていても、眠れない、逆に過度に眠ってしまう
•頑張りたいのに頑張れない
•すがすがしさが無くなる
•楽しみや趣味の活力が低下する
•希望を失う
•将来に対する夢が悲観的になる
•注意力の低下
•興味や喜びの欠如
•モチベーションの欠如
•早朝は特に酷い倦怠感から、体が動かせない
 
このような、エネルギーを失ったような状態になってしまいます。
勿論、症状の大小には個人差があるのですが、概ね、うつ病と関係する症状とされています。
 
 
 
うつ病心の風邪などと例えられることがありますが。
風邪と同じような感覚の病気だと考えるのは、無理があると思います。
 
なぜなら、
普通の風邪であれば、医者から出してもらった薬を服用していれば、数日から1週間程度で風邪症状が回復するのが一般的です。
 
しかし、うつ病になると、
医者から出してもらった薬を服用しても、1週間そこらで良くなる病気ではありません。
 
うつ病の回復までの期間は個人によって異なります。治療の期間は症状の重症度、治療法の種類、個人の反応などによって影響を受けます。
一般的には、うつ病の薬物治療や心理療法を開始してから数週間から数か月で症状の改善を感じ始めることがあります。しかし、完全な回復までには、更に時間がかかることがあります。
 
 
特に、慢性的なうつ病になると、症状がいつまで続くのか分からないのです。
もしかしたら、一生症状が続くかもしれないのです。
 
そして、慢性的なうつ状態からの完治は、非常に難しいと考えています。
 
なぜなら、
同じ脳の病気である、脳梗塞を例にとると、
脳梗塞の影響で、体が麻痺して、自分の意思で体を動かせなくなってしまう症状があります。
リハビリなどで、身体機能が改善する事はあっても、以前のように完全に元通りに回復するのは難しいのです。
 
 
うつ病も同じく、脳の病気であり、以前の元気だった頃と同じ状態に回復することは、難しいと考えています。
 
うつ病は強烈な不安感に支配されてしまい、トラウマのように何度も頭の中で強烈な不安が繰り返される場合もあります。
元気だった頃は感じる事の無かった、不快な感情と並走して残りの人生を生きることになるのです。
 
 
慢性うつ状態が長引いてしまうと、重篤な状態からは抜け出せるにしても、気分の落ち込みや不安感と、共に生きていく事になるのです。
 
慢性うつは、ジェットコースターのように、日によって気分の浮き沈みが乱高下します。
 
昨日は元気に過ごせていたのに、今日は朝からものすごい倦怠感で立ち上がる事が簡単にできない。
天気に左右されるようになり、曇りや雨の日は、どんよりとした気分になり、酷く体が重たく感じます。
 
例えるならば、
脳に薄い膜が覆って、霧がかった状態で、思考がまとまらないのです。そして、酷い倦怠感から体を動かす事がとてもしんどいのです。
 
 
 
うつ病当事者の気持ちは本人しか分からない
 
精神科に通院すると、うつ症状についての評価検査、その他の精神疾患を調べる心理検査などで医師が病状の診断をしてくれます。
また場合によっては、心理師の方がカウンセリングを行って、心理状態の聞き取りを行い、適切な心理療法を行います。
 
投薬治療とカウンセリングはうつ病の治療にとって無くてはならない物です。
うつ病の治療には専門家の指導のもとで継続的なケアを受ける事が大切です。
 
とはいえ、
うつ病の本当の苦しみは本人にしか分からないのです。
風邪のように、体温計で数値が正確に目に見える物ではないからです。
 
 
 
うつ病当事者の感じているメンタルの内側
 
うつ病の方の心の内側を、一つの例えで紹介します。
 
出口の見えない真っ暗闇のトンネルの中を、明かりもなく、1人で歩き続けるような感覚です。
この暗闇のトンネルはどこまで続くのか分からない状況です。
 
出口の見えない暗闇のトンネルこそが、
うつ病当事者の心理状態だと思って下さい。
 
歩いても歩いても、トンネルの出口が見えず、
出口が見えないからこそ、不安、焦りは日々続くのです。
そして、病気になる前は容易く感じることができた、すがすがしさ、楽しみ、希望、将来に対する夢、などの満たされる感覚は捉える事ができなくなります。
 
健康だった頃の、
•気持ちの良い日光
•清々しい肌触りの風
•心地よい香り
このような、あたりまえの幸せな感覚が抜け落ちてしまうのです。
 
 
この長い長いトンネルの人生の旅を続けなければならないと感じていると、
いつしか、トンネルの出口は存在しないのではないか?
このような疑念さえ持つようになります。
 
 
更には、暗闇の底へ引きずり込もうとする闇の声が囁くのです。
闇の声こそが、ネガティブな思考を引き寄せている、自らの内なる声なのです。
 
 
闇の声が囁きます。
「なぜ生き続けなければならないのか。このまま地獄を生き続けるのか?
死に安らぎを求めても良いのだと…」
 
闇からの誘いの声に、惑わされ、このまま魂を奪われてしまった方が、楽になるのではないか?
このような強烈な不安が日常的に襲ってくるのです。
 
強い不安は、将来を絶望しかない地獄だと信じ込ませてしまうのです。
 
不快な感覚を払い除けながら、生きるか、命を断つか、自問自答するのです。
これが、うつ病の人が感じている感覚です。
 
 
 
「私の心は生きていたい。幸せになりたい」
誰だって病気になっても、本当の気持ちは幸せになりたいと願っています。
 
•死ぬのは怖い
•大切な人を置き去りにして、この世を去ってしまうのは卑怯だ
•私は幸せになりたい
•大切な人と一緒に人生を過ごしたい
•残された人生に生きる意義を実感したい
 
このような理由で、死を食い止めているのだと思います。
 
 
 
うつ病になった事は、これからの人生を豊かにできる
 
いきなり、一般的なうつ病のイメージとはかけ離れたことを書きました。
 
 
健康な人にだって、調子の良い時と悪い時があります。
調子の悪い時は、ネガティブなことを考えてしまうものです。
そして誰にだって、
幸せな人生を送りたいと思う気持ちは同じだと思います。
 
 
うつ病の苦しみを知っているからこそ、
トンネルの中でも、一筋の希望と光を探すきっかけを手に入れたのだと思います。
どん底に落っこちた人にしか、どん底の気持ちは理解できないのです。
どん底まで落ちたのだから、後は上を向いて、回復する事だけを考えれるのです。
 
 
うつのトンネルから抜け出すには、
幸せの自己実現が必要であると思います。
 
一生に一度の人生だからこそ、自分の幸せを第一優先に考えて、自分のための幸せな人生を考え直してみる事が大事だと思います。
 
人の生き方や、感じ方は100人いたら100通りの感じ方があるように、当事者しか分からない幸せの感じ方があるはずです。
 
 
とはいえ、
うつ病を克服したいけれど、前向きな心掛けが分からないと感じるのも無理はありません。
 
私がうつ病になって、克服するために取り組んでいるポイントをいくつかご紹介します。
参考にしてみて下さい。
 
①自分を好きになる勇気を持つ事
②他人と自分を比べない事
③自分を責めない事
④迷惑を掛けても、お互い様だと思う事
⑤やりたいと感じた事は、できるだけ実行する事
⑥過去は変えられないけれど、未来と自分は変えられるのだと思う事
⑦仕事とお金は大事だけれど、健康だからこそ、働けるのだと思う事
⑧体がだるいと感じたら、素直に体を休める事
⑨嫌な思いをした時は、逃げ出したって良いと思う事
⑩薬に頼る事を肯定的に受け入れること
 
私は、このような考え方を持てるように、日常的に意識して、無理なく取り入れるようにしています。
 
自分自身に優しくなれて、気持ちが楽になれる事を見つけていく事が大切だと思います。
幸せを見つけるヒントになれば幸いです。
 
 
今日1日を生ききる。
そして、明日の1日も生ききる。
さらに、その次の日も生ききる。
その先に、いつか暗闇からのトンネルの出口が見えるかもしれないと期待して。毎日生き続けます。
闇からの誘いに引きずられないように、生き続ける勇気を持つ事だと思います。
 
 
うつ病で苦しみ悩んでいる全ての方。
幸せの自己実現を手に入れる勇気を持って下さい
 
うつ病で苦しむのは自分自身です。
そして、
生きる意味、幸せを手に入れる事ができるのも、自分自身です。